ホームインスペクション

ホームインスペクション(住宅診断)とは【わかりやすく解説】

住宅を購入するけど、ホームインスペクションって依頼したほうが良いのかな?費用もかかるし、悩むなー。

私がホームインスペクションについて、解説しますね!私は住宅の現場監督とホームインスペクションをしています。

この記事を読むことで、「ホームインスペクションがどういったものなのか」が分かります!

1.ホームインスペクションの概要

1-1 ホームインスペクションの概要

私がホームインスペクションについて簡単に説明する際には次のようにしています。

現場監督

宅の購入する際、その物件がどういった状態なのか不安ですよね。
例えば床下に白蟻があったり、天井が雨漏りしていたり。こういった不具合が隠れている可能性があります。
そこで、専門の技術者であるホームインスペクターが住居空間は勿論、床下や小屋裏等の隅々まで検査するのがホームインスペクションです。
購入する側はその診断結果を元に物件の購入の判断をすれば、トラブルを回避したり、安心して物件を購入することできます。

このようにホームインスペクションは、建築専門の技術者であるホームインスペクター(住宅診断士)により、建物の健全性や不具合等を診断するものです。

実際にホームインスペクションが必要とされるケースとして次にようなケースがあります。

  • 中古の不動産売買(マンション・戸建)の建物状況把握
  • 新築の不動産売買(マンション・戸建)の建物状況把握
  • 不動産売却時の建物状況把握
  • 住んでいる住宅の不具合を確認したい時

1-2 ホームインスペクションの目的

ホームインスペクションに目的は潜在的な問題を事前に発見し、住宅の状況を的確に診断することです。

このことにより、大きな補修やメンテナンスの予防保全や費用を予測することが可能となり、安心して自宅で生活することができたり、自信をもって不動産の売買に臨むことができます。

1-3 ホームインスペクションの歴史とトレンド

アメリカはホームインスペクションの先進国で、1976年にアメリカホームインスペクター協会(ASHI)が設立されています。

そして、次のグラフのようにホームインスペクションの実施件数は増加し続けて、2000年代で取引全体の70%で導入されています。

参照)日本ホームインスペクターズ協会(https://www.jshi.org/)

日本においてはまだまだ知名度が低いホームインスペクションですが、2008年に特定非営利活動法人 日本ホームインスペクターズ協会が設立される等、徐々に認知が広まりつつあります。

日本政府においても国策として質の高い新築住宅の共有と中古住宅流通・リフォームを促進することによる住宅市場の活性化を図ろうとしています。

また、宅地建物取引業法の一部改正に伴い、2018年4月1日から宅建業者に建物状況調査(インスペクション)の告知・斡旋することが義務化されました。

これらのことから、日本の住宅市場においてホームインスペクション導入は増加していくと思われます。

2 ホームインスペクションの検査項目と検査範囲

2-1 戸建て住宅

【検査方法】

通常歩行可能な範囲からの触診・目視・動作確認・機器による計測等(非破壊検査)

  • 外周りの状況(基礎、外壁、雨樋、給排水桝等の確認)
  • 室内の状況(壁・柱・床の傾き、建具の建付け等の確認)
  • 床下の状況(白蟻被害、基礎の状態、金物の錆状況、金物や断熱材の有無等の確認)
  • 小屋裏の状況(野地板、束、金物、梁・母屋、吹付断熱等の確認)
  • 設備の状況(給排水設備、照明設備、換気設備)

標準項目だと床下や小屋裏は点検口から目視可能な範囲となり、進入しての検査は追加オプションであるケースが多いです。

【所要時間】3時間程度(延面積、その他条件により異なります)
検査当日は施工会社 又は 不動産会社の立会いが必要になります。

2-2 マンション

【検査方法】通常歩行可能な範囲からの触診・目視・動作確認・機器による計測等(非破壊検査)

  • 外周りの状況(外壁、基礎)
  • 室内の状況(天井、壁、床、建具)
  • 小屋裏の状況(野地板、束、金物、断熱材)
  • 設備の状況(給排水設備、照明設備、換気設備)

※マンションと戸建の大きな違い次の2点です。

  • マンションの共用部の点検に際して、事前に管理組合に承諾を得る必要がある。
  • マンションには床下の空間がないこと。

ホームインスペクションはあくまで人間でいうところの健康診断であり、精密検査ではありません。
健康診断の結果を元に、後日精密検査を受診するイメージです。
つまり、ホームインスペクションは一次診断という位置づけで、目視や触診、打音等で住宅の状態を診断します。
その結果を基に足場が必要な詳細点検やコンクリート破壊検査が必要となる場合があります。

3 ホームインスペクションの費用

3-1 一戸建ての場合の費用相場


おおよそは6~7万円です。

床下や小屋裏の点検オプションを追加すると11万円くらいになるケースが多いです。

床下に潜ったり、小屋裏に登ったりするのはオプションの場合が多いですが、診断することをおすすめします。

理由はこういった普段、人が近寄らない場所の方が、雨漏りやカビ等の不具合が潜んでいる可能性が高いからです。

3-2 マンションの場合の費用相場

おおよそは5~6万円です。

費用について詳しく知りたい方は次の記事を参考にしてみてください。

あわせて読みたい

3-3 ホームインスペクションの投資価値

ホームインスペクションの費用は一見高いように感じるかもしれませんが、下記のようなメリットも大きいため、価値を感じてもらえることが多いようです。

  • 後々の雨漏り等のトラブルを予防。トラブル対応は時間、労力、コストが大変です。
  • 基礎に欠陥が見つかり、大幅な値引きされた事例有り。
  • 診断書があると試算売却時に価値向上が考えられます。

4 最適なホームインスペクションの選び方

4-1 ホームインスペクターの資格と経験

建築にかんする資格は様々な資格があります。

ホームインスペクションに関連するものとしては、次のようなものがあります。

やはり、ホームインスペクションをする上で最低限の品質を担保するために資格を保有していることは確認しておきたいですね。

  • 一級建築
  • 二級建築士
  • 既存住宅状況調査技術者
  • JSHI公認ホームインスペクター

4-2 現場の経験

保有資格も大切ですが、実務・現場の経験が豊富な方がより充実した検査ができると思います。

筆者自身は住宅の現場監督の経験があり、様々な失敗、クレーム対応等を経験してきました。

こういった経験や知見があるからこそ隠れた欠陥等を見つけられると考えます。

4-3 コミュニケーションの重要性

ホームインスペクターには欠陥等を見つける能力は必須です。

あわせて求められる能力がコミュニケーション能力で、次の場面で必要となります。

  • 検査結果をかみ砕いてわかりやすく報告
  • 建築会社や現場監督との各種調整(日程・是正事項)

ホームインスペクターの選び方について、もっと知りたい方は次の記事も参考にしてみてください。

あわせて読みたい

よくある質問とその回答

Q: ホームインスペクションを行うメリットとデメリットは何ですか?
A: メリットとしては、物件の問題点を早期に発見し、重大な問題が発生する前に対処できることや、将来的な修繕コストを見積もることができることが挙げられます。一方、デメリットとしては、検査費用が発生することなどが考えられます。

Q: ホームインスペクションの費用はどのくらいですか?
A: ホームインスペクションの費用は物件の種類、規模、検査の範囲によります。基本的な検査だけでなく、詳細な検査や特殊な検査を希望する場合、追加の費用が発生することもあります。見積もりを取る際には、費用とサービス内容を詳しく確認することが重要です。

Q: ホームインスペクションはいつ依頼するのが良いですか?
A: ホームインスペクションは、不動産を購入する前、つまり契約を結ぶ前に依頼するのが一般的です。これにより、物件の問題点を早期に把握し、それを修復するための費用見積もりを取得できます。これは購入価格の交渉に役立つ場合もあります。
また、新築の家を建てる場合、工事中にホームインスペクションを行うことが推奨されます。これにより、建築中の問題を早期に発見し、修正することが可能となります。

5 まとめ

ホームインスペクションを実施することで、住宅の健全性と安全性を評価することができます。

そのことで、雨漏等による予期せぬ修理費用やトラブルを回避したり、報告書を残すことで売却時の資産価値向上が期待できます。

ホームインスペクションはコストと時間はかかりますが、長期的な視点で見れば、その投資は十分に価値があります。

  • この記事を書いた人
ishitarou

いえたろう

ホームインスペクション(住宅診断)や住宅の現場監督をしています。 保有資格:一級建築士。ホームインスペクター。

-ホームインスペクション